2006年06月05日

第17回 話が進まない話

第17回 話が進まない話

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海から離れてるはずなのに、水が足元に。
何が何だかわからず、坂道を上に向かって歩いた。
すると、静かに追いかけてくる水。
追い掛けてくるってことは下の方は既にすっかり水没している。
霧と靄でよく見えないのだ。
坂道を上へ上へ
水も 上へ 上へ

頂上に着いた。
水はまだ上がっていく。周りに建物は無い。
少しづつ上がっていく。
首まで来た。




あさーーーーーー

「おは  よう。おは   よう。お   はよう。」

「う  う  う ううん。」
「カンちゃん、朝だよ。」
「あ、      びっくりした。朝か。」
「またうなされてたよ。」
「ああ、また夢見ちゃった。今度は水の夢。この前は火の夢で、今度は水か。なんだろな。」
「もしかして予知夢?」
「親父ちゃんは、わからないの?そうゆうのは。」
「わかりません。それは人間だけが持つ能力でしゅ。」
「そうなのか。まあ、知ってるのは俺だけみたいだし。それもあって見るのかもしれないけど、毎晩毎晩参ったな。」
「かわいそうかわいそう」
「ま、しゃあない。はやく地球を救う準備をしよう。」
「そうだそうだ」
「とりあえず引越しか。」
「いえす、うい・キャンキャン」
「引越しいってもなあ。ろくに荷物無いし。  体だけで行くか。でもこのCDとレコードだけは持っていきたいな。」
「そうとうありますよ、こりゃ。こりゃこりゃ。」
「ちょっと、手で運ぶのは無理だな。   そうだ。これからどうせ足が必要になるし、車でも買いますか?中古車でも。」
「わおわおー、じかようしゃデスカイ?」
「そーです。そんな身分になれました、えっへん。では、まずは朝飯に。行っちゃいましょうユウジの店に」
「いっちゃいましょー。」
「体ひとつで。」
「かーらだひとつうううでえい♪」

ガラガラっ

「おおおおおっす!」
「おええええええっす!」
「お、お二人さん。おはようございます。元気ですね。朝から。」
「てりめーよ。」
「てりめーてりめえ」
「今日、引越しするんじゃないですか?荷物は?」
「てりめーよ。自慢じゃねえがこちとら運ぶような荷物なんかあるもんか。ぎゃはは。」
「一週間前まではビンボーでしたもんねぇ。」
「全てがこれからとゆうことです。で、あいつらは来たのか?もう。」
「あいつら?あ、女子二人ですか?」
「女子つうかババアと小娘(男みたいな)」
「来てますよ。とにかく出来るところは掃除するって上へ行きました。」
「あら、なかなか感心じゃない。」
「まあ、行くところがもう無いみたいですから。」
「そうだよな。ところで、ユウジ、お前、いい中古車屋知らないか?」
「車屋さんですか?そうですね。すぐ近くにあるザ・モーターズって店ならうちの軽トラ買ったところですけど、親切でしたよ。とにかく車好きみたいで、あれじゃ儲からないだろな。」
「いいねえ。そうゆうところ。朝飯食ったら行ってみるか。とにかく足が無くちゃ。と決まったら、めしめし。」
「しめしめ」
「朝しめですね。はいどーぞ。来ると思って準備済み〜!」
「ほーー、お前もいいカンしてるなーー。感心感心。」
「あーそれワシがゆうのに

かんしんかんしん



ぎゃははははははははは。

ガラガラガらああっ

「びっくりしたあっ。」
「おう、おっさんたち。来てたのか。」
「相変わらずターコ姉さんは男だねえ。」
「おはようごぜえますだ。ありがたやありがたや。」
「相変わらずトラ婆さんは、ドリフ大爆笑83もしも貧乏な旅館があったらに出て来る貧乏な婆さんみたいだねえ。」
「ながいよ。」
「ながいよながいよ。」
「掃除はどうした?」
「おう、あらかた綺麗にしておいたよ。ますます何にも無くなってガラーンとしちゃったけど。」
「ゴミとかどうしたの?」
「まとめて隅に山盛りさ。」
「すげーな。まあ後で何とかするか。じゃ、でかけるぞ。」
「どこへ?」
「もち、買い物よ。家具とか電化製品とか布団とか電気ポットとかいるじゃろが。」
「じゃろってなんじゃろ」
「まずは車を買いにいくか。急に乗るっても難しいかもしれんから、おい、ユウジ取り合えずお前の軽トラ貸せ。仕入れはもう終わったんだろ。」
「はいはい。いいですよ。ぶつけようが何しようが。お好きに=。前の駐車場に有りますから。」
「よし、それじゃ、レッツ・ゴー買い物。」
「かいものかいもの」


「ところでちょっといいか?」
「なんだいターコ姉ちゃん。」
「会社の名前はなんてんだ?決めたか?」
「あ、いけね。まだだよ。  あ、そうだ。これにしよう。株式会社ダウニング。」
「何じゃそりゃ。」
「ぎゃはは、わかる人にはわかる。略してKKダウニング。なんちゃって。」




「地球滅亡の日まで残り440日」

第16回 これが本拠地になるのか

第16回 これが本拠地になるのか

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「あああ、行っちゃたよ。鍵は?? 鍵はどーするのよーー。」
勘太郎が嘆いていると

「あ、鍵でしたら、私が。恩人さんなのでもちろん案内だってしちゃうよ。」
「おう、お嬢さん。嬢ちゃんはあの親父さんの娘さん?」
「はい、花子って言います。家を救ってくだすってありがとうございます。改めて御礼を。」
「ああ、いいのいいの。急いで空きビル探してたところだったし。すぐ使えるなんてこっちこそお礼を言いたいところだよ。」
「じゃ、すぐ案内します。」
「あ、ちょっと待って。今、あの、手下ども、ははは、連れてくるから。」

勘太郎&親父ちゃんは小走りでユウジの店に。

ガラガラっ

「おう、決まったぞ。このビル全部買ったから。」
「ははは、全部ですか。あ、じゃあ今日から大家さんっすね。ははは。」
「これからは家賃なんか気にするねえ。こちとら江戸っ子でい。」
「ラッキーっ。もう、イケてる人は違うねえ。三度の食事はもう心配しないでいいですよー。」
「おでん、おでん。」親父ちゃん喜ぶ。
「おいおい、朝昼晩とおでんは辛いなあ、さすがに。」

全員爆笑

「はともかく、お前達の居場所出来たぞ。これから部屋見に行くから、一緒にきなよ。」

「おう、ありがてぇ。感謝するぜ。」
「ありがとうごぜえますだよ〜〜〜〜。」
大喜びの姉さんと婆さん。

「いや、まだ感謝するのは早いかもよ。そうとうボロそうだし。寝るところあるかな。」
「屋根があるだけでもめっけもんだい。さあ行こう行こう。」
「あ、そうそう。そういや君たちの名前をまだ聞いてなかったような???」
「あ、俺か。妙子って言うんだ。ま、ターコとでも何でも呼んでくれ。」
「ターコか。どっかで聞いたような。パリとか行くんじゃないか。」
「何?」
「いや、なんでもない。で、婆さんは?」
「虎って申しますだよ〜〜〜。」
「ははは、おトラ婆さんか。こりゃいいや。それじゃタコとトラ、行くぞ。」
「ばか。タコって言われりゃさすがに頭に来るぞ。」
「すまんすまん。ターコだな。はいはい。」
「はいは一度でいいぞ。」
「はーい。」カンちゃんと親父ちゃん一緒に返事。

がらがらっ。
「あ、花子ちゃん、待たせたね。じゃ、案内してくれるかな。」
「わかりました。」
全員一旦外に出て・・・
「お店空にしていいの?」
「いいんです。お客さんも来ないし。お金も無いし・・。」
「むむむ」反応に困る勘太郎。

ビルは4階建です。一番上から拝見。3階までは階段の右手と左手に一部屋づつ。
「一番上から見ようか。」
「じゃあ、エレベーターで。」と花子さん。
「うわ、古いエレベーター。大丈夫か。5人も乗って。」
「たぶん。」
「多分なのかー。」

ぽん。

がちゃがちゃ。
「どうぞ。」
「お、この階は一部屋なんだ。」
ガラーンとして何も無い床がPタイルの部屋。ところどころ剥がれてて、ターコが蹴飛ばす。
思わず。
「こんちくしょー。」
「ははは、気をつけなよ。うーん、この部屋で寝泊りはキツイかもな。ここはイベント会場とか・・・」
「いべんと、いべんと、なんの、なんの?」
「何のだろう、ははは。会議室だな。」
「かいぎ、かいぎ、なんの、なんの?」
「なんのなんだろう。ははは。ま、そうゆうことだ。」
「あんたの会社、いったい、何やってるんだ?」ターコが不思議そうな顔で。
「いや、実は全部これからなんだ。まあ大目標はあるけど。」
「ふーん。」
「じゃ、下を見てみよう。階段で行こう。」

がちゃがちゃ。
「どうぞ。この階の部屋は前の方も住まいに使ってました。」
「お、ほんとだ。何にも無いけど。」
「あの、夜逃げされちゃって・・・。うちも残ってた家具処分でもして不払いの家賃に当てたかったんですけど・・。町金がやって来て全部持っていっちゃった。」
「また、あいつらか。うーむ。ともかくあっちの部屋も見てみよう。」

がちゃがちゃ
「どうぞ。こっちも同じで。」
「いいじゃんか。けっこう思ってたよりまともだし。どうするターコ、トラさん?どっちの部屋がいい?」
「俺は決められないよ。婆さんは?」
「おらだって、そんな。カンさんが決めておくんな。」
「そうか。まあ同じようなもんだし。じゃ、さっきの部屋を使いなさい。」
「わかった。」「あいあい。」
「2階を見るか。」

がちゃがちゃ
「どうぞ。こちらは事務所が二つ入ってました。実はこの前・・・」
「夜逃げしたんだろ?」
「はい。」
「やっぱし。で、机とかは町金が・・・」
「はい。」
「やっぱし。   よし、わかった。今日はもう夜だし、明日から色々揃えよう。は、いいけど、今夜の宿が困ったな。君たちの。まさかうちに泊める訳にもいかないし。」
「俺はここで寝てもいいよ。」「オラもだいじょぶだあ。」
「まさか。それは無理だよ。」


「あのー、よろしかったらうちに泊まりませんか?」
「おお、花子ちゃんのうちで泊めてくれるの?。」
「はい、大丈夫です。うちでよければ。」
「そりゃいいや。なあ、お前達。あ、でも、あのおやじさんがいるぞ。大丈夫かな。」

「わしのことか。わしはスケベだし、大丈夫なのだ。」
当然、花沢さんのパパ登場。
「お金を叩きつけてきたのだ。今帰ってきたぞ。今回のことはまことにありがとうのサンキュウなのだ感謝します。」
「それは、よかったよかった。でもスケベエじゃなあ。あぶないなあ。」
「すけべえすけべえ」
「大丈夫なのだ。ワシなら今夜ユウジのとこで寝るのだ。安心して泊まりなさい。許す。」
「そうか。悪いね。ならいいか。じゃあターコとおトラさん、やっかいになりなさい。」

「よろしく頼むぜ。」「すまんですのう。」

「じゃ、今日はゆっくり寝て。明日はどばっと買い物。そしてうちも引越しだな。」
「おひっこしーおひっこしーーー。」

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第15回 婆さんの長セリフ

第15回 婆さんの長セリフ

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「ぶーっ。腹いっぱいだぜ。ごちそうさん。」言っとくけどこれは若い娘。
「あたしももう三日分食べさせてもらいました。ありがとございますでございます。」これは婆さん。
「わはは、そうかそうか。そりゃ良かった。ゆうじ、じゃお茶でも入れてくれや。」
「はい。とととー。とととー。はいどうぞ。高級番茶です。」

じゅるじゅるじゅる。

「とこで、婆さん。そろそろ行き倒れになった訳、話してくれないか。ま、これもなんかの巡り合わせだ 。場合によっては力になるよ。」
「へえ。ありがてぇこって。実はでんがなまんがな、春日部に住んでたんねえ、わし。娘夫婦となんだー かんだー言いながら何とか一緒に暮らしてきたんだけんどもさ。三日前の朝だ。起きてみたらまー、あいつら全員いなくなってさ。ガキ二人もろとも。訳わかんねけど、とりあえず一人で待ってたさ。そしたらまー、その日の午後さ。おっかない兄ちゃん二人やってきてね。どかんどかんドア叩いてさ、開けたら「借金返せ」っていきなり凄んださ。びっくりしたのなんのさ。こりゃさ。どうもあいつらギャンブルして町金から沢山借りてたみてぇでさ。つまりさ夜逃げさ。さ。その場は何とかごまかしたんだけんどよー。もう怖くて怖くてさ。わしも次の日の朝、家飛び出てさ。どこへ行こうにも当てなんかねえけどさ。昔の知り合いのとこ訪ねたさ。それがよー、みんないなくてさ。死んじまってさ。しょおがねえから、ほれネットカフェつうの、あそこで一晩止まってさ。今日はさ最後の当てのここにいる梅さんとこ訪ねたんだけどさ。いねえよバカが。でさ、急に力抜けてさ。あそこでばったりとゆう訳です。
 ご清聴ありがとさん。」


「そうか。そりゃ大変だ。」
「もしかしたら家に戻ったら娘さんから何か連絡が入ってるんじゃないですか?」と勇次。
「いや、無いんじゃないか。なんせ親捨てだもんな。世のも末だな。

 ところで、お姉ちゃんはどうしたんだ。そんなに腹空かせて。」

「俺か。俺もおんなじだ。朝起きたら親がいなくなってたさ。うちは母親だけだけどさ。男作って逃げたみたいさ。いけね。さが移ったさ。」
「こっちは子捨てかよ。うーむ。」
「どうします?カンさん。」
「どーするどーする。」親父ちゃん、今週初めての発言。

「おねげえしますだ。この店で使ってくれねえですかいのう。ぎょうさん働きますよって。料理も上手いさ。」
「あ、俺も俺もっ。何でもすっからよ。ゴミ捨てでもいいや。使ってくれよ。頼むわ。」
「えっ!うちですかー。こんなちっちゃい店だし。借金上がりだし。無理だよ二人とも。」
「そんなこと言わねーで。お代官様〜〜。」
「困ったな。カンさん、助けて〜〜〜。」

腕組みしてたカンちゃん、
「よし、わかった。これもなんかの縁だ。二人を救えないで地球を救うなんかとーても無理」
「えっ?」
「いや、こっちのこと。わたしにまかせなさい。うちの会社で雇ってあげるよ。」
「会社って?カンさん持ってました?」
「いや、そろそろ事務所でも持たなきゃいけないなと思ってたところです。ところで、勇次。お前いい物件知らないか?この辺で。住むとこも有って、事務所にも使えるとか、そうゆうビル。」
「ビル?丸ごとですか?」
「たりめーよ。」
「じゃ、ここいいですよ。上は全部がら空きですから。そうすればここで飯も食えるでしょ。」
「おう、そりゃいい。このくらいボロい方が・・」
「えっ?」
「使い込まれてた方が目立たなくていい。」
「目立たないですか。うーん、だから客が来ないか。はともかく。隣の不動産屋さんが大家さんですから聞いてみたら。」
「うん、そうだな。じゃ行って来るわ。」
「今から?」
「おうよ。善は急げ、馬券は逃げ馬から。」


ガラガラーっ。

「こんちわ〜」

「ほら、父ちゃん、お客さんだよ。」
「お客さん。それどころじゃないのだ娘。今はたいへんなのだ。頭いたいのだ。」
「駄目だよ父ちゃん。こゆう時こそしっかり接客接客。」
「そうか娘。ではせっきゃくだから接客しよう。誰だお前。」
「取り込み中ですか。後にする?」
「いいのだ。はやくゆえ。用件はなんだ。」
「随分、ぶきらぼうなとこだなここは。ま、いいか。嘘つけなそうだし。」
「嘘はつかないのだ。つくのは餅と嘘だけなのだ。」
「えっ?ま、いいか。ビルを買いたいんだけど。」
「わ、金持ちだなお前。どうせ、ほら吹きのゴーシュだろ。ま、冗談でもいいから言え。家ならお任せ。」
「このビルなんだけど。買う。いくらだい?」
「わはは、お前面白いこと言うな。からかってやる。土地付で一億円なら売るぞ。ただし今すぐ現金でなら。どーだ。まいったか。」
「お、安いね。親父ちゃん、一億円。出して。」
「一億円いちおくえん。」

口からぱらぱらとお札が出て来て、テーブルの上に積み重なって、一挙に札束になって一億円です。

「わ、わ、わ、お前何者?お札お札。たりたりら〜〜ん。」
「父ちゃん父ちゃん。お金だよお金。落ち着いて。落ち着いて。」
「わ、娘。そうか。金か。うんしょうんしょ。確かにあるぞ一億円。売ったっ!このビル。では、行って来ます。」

花沢不動産のパパさん、背中に札束入れた風呂敷背負って脱兎のごとく、飛び出そうと。
「おいおい、どこ行っちゃうの?」
「ありがとうなのだ。これから町金に借金返しに行くのだ。これでわしと娘の胴体と首がつながったのだ。
 今日から自由に上、使っていいぞ。それどころか、貴方の手下になります。役に立ちますよろしくね。では殺されないうちに行ってくるのだ。これでいいのだ。」

花沢さんのパパが仲間になった。






「地球滅亡の日まで残り441日」

209

2006年01月20日

第14回 また変なのが出てきたよ

第14回 また変なのが出てきたよ

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あれのために頑張ると気を取り直したおポンチ二人組、次の日からは開き直って一念発起、賭けに賭けたり一心不乱、不労所得よ申し訳無しせめて現場でやりましょうと越前屋証券北大久保支店別室にて大暴れ。
火曜から金曜まで長よ半よと何と300億円近く稼いでしまいました。
1億円が5日間で300億。

「さーて、これくらいで勘弁してやろうか。」勘太郎はタバコをぷはー。
「勘弁してやろか。」親父ちゃんはカッコ真似してぷはーー。
「えっ、勘弁しちゃうんですか?」仲本さん、灰皿を手に持って。
「だって金曜日でしょ。」
「でしょ」
「あ、そうか。」
「来週からは新展開考えますのでよろしく。」
「よろしく。」
「あ、それと気付いたんだけど、この会社、やけに最近株価下がってるね。どうしたの?」
「この会社って我が社ですか。やですよー。もしかしてもう知ってるんじゃないですか?あれ押さえたじゃないですか、ちゃんと。」
「へへ、まあね。やばいんでしょ。この前のプチ打ち込み間違いで。新上場の会社のやつで。」
「やばいなんいてもんじゃないです。うちなんか小さいから誰も助けてくれないし。お客さ
んは儲かったけど。」
「よし、最後に一つ100億円、おたくの株買います。良かったら来週も儲けた分つぎ込んでどんどん買うからね。」
「え、もしかしてそれ、うちの会社買っちゃうってこと??」
「いや、買いはしないけど・・・株主になります。」
「そりゃそうだ。で、何をなさるおつもりで。」
「へへ、それは来週、来週。まあそれとは別だけど、仲本さんはデリバティブって詳しい?」
「え、そりゃまあ、今の金融マンには不可欠なんで血眼になって勉強しました。」
「対応できるようにしといてちょーだい。では諸君、来週。さらばじゃ。」
「さらばじゃーー。」

意気揚々と二人は引揚げます。

「やったな。」
「やったね。」

「ユウジの店に行くか?」
「行こう行こう。」

その時、道の前方で何か騒ぎが・・・

「おいてめえら、みんな薄情なやつばっかだな。何だ。婆さんが倒れてるのに誰も助けないなんて。」
「いよー、ええんだよ、お嬢ちゃん。ちょっと立ちくらみがしてね。だいじょーぶ。」
くら。また倒れる。
「ばか。全然大丈夫じゃねえじゃねえか。ほら誰か。誰か救急・・。」

「何だあの騒ぎは・・・。ちょっと行ってみよう。」
「行ってみよーー。」

「あ、そこのおいちゃん。ほら、ぼおっとしてないで。早く救急車、救急車呼んでくれよ。」
「え、おいちゃんて俺?こう見えてもまだ30。いやどしたんだ。その婆さん。」
「どしたもこしたも見りゃわかるだろ。倒れたんだ。早く早く。」

(ねえねえカンちゃん、あのお婆さん病気じゃ無いよ。お腹減ってるだけだよ。)とこっそりモードで親父ちゃん。
(えっ?そうなの。何だ。でも言ってもあの姉御、納得しそうにないぞ)
「何、ぼそぼそやってんだ。はやくはやく。」
「わ、わかったわかった。とにかく、こんなとこじゃなんだ。すぐそこに知り合いの店があるからそこに行こう。ほら、婆さん、俺がおぶってやるから。親父ちゃん、手伝って。」
「手伝う手伝うよっこいしゃっと。」

「すまないねえ。世話かけて。」

「あ、何か怪しいぞこのおやじ。心配だから俺もついて行く。着いたらすぐ電話しろよな。」
「わかった。わかった。しかし君、口が悪いねえ。若い女の子がまた。」
「ぐだぐだ言ってないで。どこなんだその店は。」

「あ、ここここ。ここです。」

ガラっ。

「おう、ユウジ。」
「おう、ユウジって今日はまたどうしたんですか。その背負ってるお婆さんは。」
「いや何ね。行き倒れだ。腹が減ってるんで、何か適当に食わしてやってくれ。」
「いーー。何でおたくさま、わしが腹減ってるの知ってたのかえ。」
「えっ?まあな。おっほん。それくらい見りゃわかる。人生の年期が違うぞ。」

ぐおーーーーーー。

「わ」
「何だ何だ今の音は??」
「この人です。」親父ちゃん、若い娘を指差す。
真っ赤になってる。
「何だお前も腹減ってるのか?よしよし。ユウジ2人前!!いや俺たちも食うか。4人前!それに酒も。ぱあっと喰おう喰おう。」
「喰おう喰おう。」
「何だ、俺はお前達みたいに身も知らずのヤツからご馳走されるいわれはねえぞ。」
「大丈夫だよ、お嬢さん。この人いい人だし。最近とっても景気がいいの。ご馳走になりなさい。」
とユウジ。
「そうそう。人の親切は素直に受けるもんだぞ。さあ、ビールだ。あ、君は未成年か?」
「いや、飲むぞ飲むぞ。」
「ほんとかしらねえぞ。婆さんは。」
「そんじゃまあいただきますか。ほれ、兄さん、大きいジャッキで頼むわ。」
「何だ急に元気になってるぞこの人。」

わははははは。全員爆笑。






「地球滅亡の日まで残り441日」

208

2006年01月11日

第13回 儲けることってなんだ

第13回 儲けることってなんだ

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それからとゆうものは

「次はなぞなぞ商会に全額っ!。」
「次は株式会社パブリック・イメージに全部っ!!」
「次は次は、C&Cミュージック株式会社にとことんっ!!」
「次は次は次は次はバッド・カンパニーは完璧っ!!」

「お客さん、1日で元金が2倍になりました。」
仲本さん、ため息付いてます。
「こんなこと初めてです。お客さん天才です。」

しーんとする部屋。

「まだいけるよ。次はいいの?」と親父ちゃん。

「ああ、もう、いいや。今日はもう止め。仲本さんご苦労様。明日また来るからさ。また部屋一つ貸してくれや。」

「はい、それはもうもちろん。支店長いいですよね。」

ぽかーんとしてた支店長。
「あ、はいはい。それはもう。何時にでもおこし下さい。」

「帰るか。」
「かえるかー」

大量に儲けたのに何故か沈んだ空気です。



「飲もう。」
「のもう。」


儲けても足が向くはやっぱりユウジの店。

「おう。」
「あ、いらっしゃい。どうでした。あれから。馬券また儲けました?」
「もちよ。聞いて驚け。一億円だ。」
「ううううううげげげげげ。い、い、い、いちおくえん??」
「そうよ一億円だ。だから超高級エクセレントおでんくれ。」
「超高級ってうちはいつものふつーーーのおでんですけど。」
「ははは。仕方がないそれでいいや。くれ。」
「はいはい。」

「まずは酒だ。冷でいいから早くくれ。」
「かんぱい、かんぱい?」
「いや、今日は乾杯は無し。」
「なし?」

黙ったまま飲んで喰う勘太郎と親父ちゃん。

「何かありましたか?」と思わず聞いちゃいますユウジさん。
「有ったかなんてもんじゃないよ。一億円のあと一億円儲けた。今日な。」
どどどどどと腰砕けになって壁に張り付く。
「あ、あ、あ、あと一億円・・・って。併せてうーんとうーんと2億円じゃないですか。」
「そうよ2億円よ。2時間ぽっちで一億円増えやがった。」

「そ、それ、めでたいじゃないですか。すごく。」
「ああ、めでたいさ。もう地球うううううがひっくり返るほどめでたいよ。嬉しくて嬉しくて・・・
涙が出らあ。」

とほんとに泣いてますカンちゃん。

「どうしたの?」

「別に何でもないけどさ。あまりに簡単だからよ。いったい俺の今までの年収の何倍なんだい。んーんーんー、10倍、いや20倍・・20年分を今日一日で稼ぐなんて。」
酒を一口ごくん。
「馬鹿馬鹿しくなっちゃって。TVとかでやってる金持ち連中はいつもこんななのか?」
「そりゃもう日常なんじゃないですか。どうやってるんだか。僕ら貧乏人には想像出来ないけど。」
「お金があるところにはおかねが集まるみたいだよ。100x2は200だけど。1億X2は2億です。」
「俺が今日やったことといったらさ。目の前の株屋さんにあれ買えこれ売れ言っただけだもんな。こんなん働いたなんていえねえよ。馬で当てた時のほうがよっぽど気持ち良かった。俺達みたいにひいひい言って働いてる人がいる会社をネタにして稼ぐなんて。」
「でも競馬でもそれは同じかも・・」とユウジ。
「いや違うな。馬は絶対こっちの思うように走らないから。馬は結局好きなように走ってるよ。」
「そうそう。それはそう。だから当たらないよなかなか」親父ちゃん。
「それ見て勝手にこっちはこっちで稼いだ金を賭けてるだけだから。
それに比べて株はよう、いくらその会社の人が必死に稼いで業績上げようが、俺らが目茶無茶やれば株価は動いちゃう訳だ。」

3人とも酒をゴクリ。親父ちゃんはそっとガンモに手をのばす。



「そのお金で何をするんですか、カンさんは?」
ユウジがおもむろに。
「え?何をするって?それは・・・」
「いや。ちょっと思ったんですけど。お金を稼ぐ才能が有る人はそれをどう使うかでその人の価値が決まるんじゃないかと思って。大切なお金ならよけいに。」





「そうか。ユウジもたまにはいいこというな。」
「いいこといいこと」
「そうだよな。どう使うかだ。親父ちゃん、あまりのことに忘れちゃったよ、あれのこと。」
「そうだよ、あれが目的です。」
「あれなんですね。あれ。それなら大丈夫だ。」ユウジ
3人大爆笑。
「あれのために頑張るぞーーー。ほらほら注げ注げ。乾杯だ乾杯。」

ガンバルゾーー

「ところであれってなんなんですか?」


時計の針が丁度頂上廻ります。








「地球滅亡の日まで残り445日」

2006年01月03日

第12回 濡れ手に粟と申します

第12回 濡れ手に粟と申します

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「それでは最初のご担当候補の方どーぞ。」
じゃじゃじゃーんと心の中でファンファーレ鳴らして、呼びます勘太郎。

こんこん
「失礼します。」
「えー、彼は小泉と申しまして当支店のエースでございます。あ、君、こちら、あ、えーと、管さ
ま。ご挨拶したまえ。」
と支店長。

「あ、わたし、小泉と申します。よろしく。」
何が100000000円だ。それくらいでって顔して横向きながら挨拶する。

「あ、どうもありがとう。結構です。」
即座にカンちゃん、言いました。

俺が、どうしてって目を見開いてライオン髪君退場。

「次の方〜〜」
「失礼します。私、前原と申します。」
「えー、彼は新進気鋭の若手でして、ファイトまんまーんです。」

「あ、どうもありがとう。結構です。」
即座にカンちゃん、言いました。
(この人、目付き悪いよね。よこしまだと思います。)こっそりモードで親父ちゃんに
(うんにゃ、調べましたら、XXとかXXしてます。現在進行形。)
(やっぱし)

「次の方〜〜〜」
こんこん
「失礼します。わたしが神埼です。」
「えー、彼はがっちりした組織力をバックに我が社には欠かせない存在でして・・・。」

「あ、どうもありがとう。結構です。」
(彼はイカンザキ〜。やばいです。某団体です。)
(イカンザキ〜。きゃはは。)

「次の方〜〜〜」
とCとゆう人や、みずほとゆう女の人や来ましたがどれもこれも使えないヤツラやまったく。

「次の方〜〜」
「あ、えー、すみません。もうお奨めできる人間は残ってませんで・・・」

そこへ突然ドアを破って男が乱入。

どかーーーー
「おととととととっと」
と前方宙返りしてスタと立って両手広げてポーズばっちり。

「わーーーーー。」と思わず拍手のカンちゃん、親父ちゃん。

「あ、どもどもすみません。支店長お呼びだと聞いたのですが。」
「あ、君君。仕方ないねえ。君は呼んでないんだよ。誰がまたいったい。」
「どなたですか?」とカンちゃん。
「え、彼は、うーん、営業と言えば営業なんですけど・・・・。」
「お、お客様ですか。私、仲本と申します。はい、どうかよろしく。お願いおねがおねがおねが」
「いもうしあげます、・・・・ですね。」
「あ、はい。それそれ。申し上げます。」
「この通り粗忽と申しますか、おっちょこちょいな野郎でして。目の付け所はいいんですが・・
どーも初めての方にはお奨めするには・・・。」

「素敵です。」
「素敵です。」
「この方にお願いします。」
「します。」

あうんの呼吸で二人は決定。
「ほ、ほんとにいいんですか。後で苦情など申されましても・・・。」
「だいじょーぶ。それにこの人ならびっちり付き合ってくれるでしょ。」
「そりゃま、暇ですし。」
「ハード・スケジュールになりますから、ばっちりです。どーかよろしく。」
「わ、私にお仕事を。どーもどーもどーもどもどもどもどもどもども・・」
「ありがとうございます・・でしょ。」
「あ、それ。ありがとうございます。」
「それでは、早速。ちょっと待ってね。」

こっそりモードで
(それじゃ親父ちゃん、このノートパコンに値上がりしそうな銘柄写せるかな。ソフトみたいなの
は作れる?)
(はいな。頼まれりゃ親父ちゃんに不可能はありません。それでどのようなメニューにすっかい?)
(そうだな。よくまだわかってないけど。まあ値上がりしそうな順に上から表示して貰って。買った
やつは色変えて貰って・・)
(じゃん。こんなん。)
(あ、そうそう、そんな感じ。それでリアルタイムな株価をその横に。そして値上がり幅と%。で、
下がりそうな事態が出たらアラート・マークとか。そうそうそんな感じで・・・)

「よっしゃ。準備万端。ものはためしです。仲本さんの推奨銘柄は?」
「あ、はい。固い所ですと死生堂。化粧品会社なんですけど丁度今の時間新製品発表でして、それが
あまた評判・」
(どうかな死生堂。お、7位だ。やるねこの人。)
(やるねやるね)
「よっしゃ。じゃ死生堂にまずは全額いってみよう」
「いってみよー」
「ぜ、全額ですか。わわわわわわわわわわわ・・」
「わかりました・・・でしょ。早く早く。」
「はい、では。」
と電話で即注文、買い。

40分後。
(おおお、上がってる上がってる。15%もだ。あ、アラート・マーク!やばい。)
(やばいやばい)
「仲本さんっ。」
「あ、はい。」居眠りしてました。
「全部売りね。急いで。」
「はいはい。・・・・売りました。お客さん、もう少し引っ張っても・・・あ、」
「下がってる下がってる。派手な宣伝の割に皺とりクリーム大したこと無かったのがばれた模様です
。」
「お客さん凄いですね。どこでそんな情報を。17%も利益が。1700まんえん。」
「えっへん。うちには鉄壁の参謀が付いてるのだ。」
「のだーーーーー。」

すっかりめっきり涼しくなってきた2005年秋深し、証券界に寵児が現れました。

「さー、行くぞどんどん。次は次は・・・・。」







「地球滅亡の日まで残り446日」


206

2006年01月02日

第11回 金儲けとはなんだ

第11回 金儲けとはなんだ

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とゆうことで、タクシーで帰宅の二人、生意気に釣りはいらねえなどど人生で初めての経験を、それも噛みながら言ったりして。

もうぐったりです。

ふらふらとドアを開けては布団を敷いてあとは

ぐーぐー

ぐーぐー。

日が変わって
「地球滅亡の日まで残り446日」。

コケコッコー

心の鶏が鳴き疲れた10時に起床したのだ。

「あーーー、まだ寝たんねえや。  あれ、親父ちゃんは??」

とヨコを見るとまだ

ぐーぐーぐー  すぴー

「全くほんとにロボットかねこの人。一緒になって疲れてるんだから。
おいおい、朝だよ。起きなさい。ほらほら。」

「うにゅう。まだ寝るです。うにゅううう。」

「起きろーーーーっ。」

「はいっ。」

がばっと起きて
「おはようございます。」
「おはようございます。じゃないや。よく寝てたなあ。やっぱ疲れたのか。」
「うししし。ノリとゆうか、カンちゃんが疲れると応じるように出来てますはいな。」
「それもまた困ったもんかも。
うーん、それ言われると俺もまだ寝てたいけど・・・行くぞ。時間が無いもんな。」

「どこに行くデスか?」
「そりゃもう朝飯に・・・じゃねえや」
「えー朝飯食いたい。」
「喰う喰う。喰うから。喰ってから行かねばやはり金儲け。行かねば行かねば行かねばの娘。」
「ぎゃはは」
「わかるのか今の」
「ねばがおかしー。」
「違います。」

馬鹿言いながら速攻着替えましてお出かけですか。
まずはユウジの店で昨夜の残りのおでんを全部いただいてからに、それから駅前に行くのだ。

「どこに行くのかな。」
「あ、ここここ。現代金儲け総本山。といやあ証券会社じゃわ。」
「しょうけんかいしゃ?」

「えーと、株取引したいんですけど。初めてなもんで、とりあえず1億円くらいから。」
「はい。わかりました。え、いち、いちおくえんですか。ちょっとお待ち下さい。」

「ぎゃはは、ナイスな顔色変え。こゆうの楽しいなあ。一度やってみたかった。がはは。」
と喜色の勘太郎。
「あ、そうだ。待ってる間に。親父ちゃん、株とそれに関係すること一切合財、例の親父ちゃんネットで調べといてね。あなたが頼りです。」
「はいな。ではでは。」

ぎーがしゃん、ぎーがしゃん。

目がくるくる

「ふむふむなーるほど。うんにゃ。そうですかい。ほれほれ。このー。」

そうこうしてるうちに

奥から偉い人と思える方が登場。
「どうもどうもいらっしゃいませ。何かお初めてだとか。金額は聞きましたところ・・・」

「いちおくえん」

「そうでらっしゃいますか。はい。それではまず口座を開いていただいて、振込みいただいてそれからになります。」

「お金は持って来てるんですぐやりたい。始めたい。」
「え、も、持って来てらっしゃるのですか。はい。あ、はい。わかりました。」
「それとこれからずっとやるからね。専門の担当者を付けて貰いたい。しかるに実際に見て人選をしたいので、そこんとこよろしく。」
「はい、はい。ではこちらの別室で。書類に書いていただいている間にうちの優秀なスタッフご紹介
いたしますので。はい。君君、ぼーっとしてないでこちらにお茶。それと書類を用意しなさい。」

別室でソファにずぼっと座って書きます。
「えー、こちらの囲まれている箇所をお書き下さい。それでは私はちょっと失礼して。はい。」
「はいはい。書いて待ってます。」

・・・・
・・・・
・・・・

こんこん

「失礼します。やっ!」

応接机の上に一億円がどかっ。

「はい。これでひとつ。どーかよろしく。」







「地球滅亡の日まで残り446日」


205

2006年01月01日

第10回 身に余るマネー

第10回 身に余るマネー

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「要するに1頭はばっちり当てられるわけだろ。おえ。」
「はいな、現在95%の確率でやんす。おえ。」

朝方まで飲んでいたとゆうのに、勘太郎と親父ちゃん、もう競馬場に来てます。
懲りずに。
アドレナリンが極限まで出ておるよう。

「ちたまを救うにはなあ。こんな程度のお金じゃ勝負になりませんから。多分。ここでまた大勝負します。俺は。おえ。」
「おおしょうぶおおしょうぶ。おえー。」

当然、大二日酔い大会。

「さて、じゃ、このレース。どおの馬が来ますか?親父さま。おえ。」
「さーて、じゃ、見てしんぜよう。ふむふむ・・・・あの馬です12番ロックンミーベイベ。おえ。」
「どのくらいの確率かね。おえ」
「92%でござるおえ。」
「ロボットも二日酔いするのかね。  おえ。」
「きぶんきぶん。  おえ。」
「それでは、えーと・・・お、けっこう穴馬じゃん。んじゃ慎重を期して*複勝で700まん、*単勝で300マン行ってみるかい・・・おえ。」
「いってみるかいおえ」

こんな高額、機械じゃ買えませんので窓口へGO。バカがけっこう多いらしく別にひるまぬ窓口のおばさん。


・・・
・・・
・・・
・・・

「取っちゃったな  うぷ」
「取っちゃいました  うぷぷ」
「両方とも う」
「りょうほう うう」
「単勝が30倍で9せんまん、複勝が4倍で2800まん・・・・っておーーーーい。おえーー。トイレ行ってくるわ。」
「ぼ、ぼくも・・・おえーー。」

・・・
・・・

「あーすっきりした。それでは窓口にまりましょうかの。すっきり」
「かの。すっきり。」

昨日の窓口でまたまた換金。
「あら、凄いですね。また当てたんですか!!」
おばさん、びっくり。

お金を貰ってまたまた口にばかばか放り込む親父ちゃん。
「ははははは。お見事ですこと。」
おばちゃん、奇術だと信じ込んで大喜びです。

遠巻きで見てる若者が4人。こっちを指差してる。

「何だあいつら。親父ちゃん、何言ってるか聞こえるか?」
「はいな。・・・ふむふむ。ぼくらの噂してますよん。大金当てた変なヤツラって有名みたい。あ、ちょと待って。TVでもイザキさんが言ってる。」
「うーん。やばいな。逃げた方がよさそうだ。ほらあれ。」

何やらどんどん人だかりが。

「逃げるぞダッシュ。」
「だーっしゅ。」

・・・
・・・
・・・

タクシーに急いで乗り込みました。

勘太郎、親父ちゃんの耳元で
「こっそりモードで話、出来る?」
「はい、ではこっそりモード。これで会話は運転手さんに聞こえません。」
「今度からこっそりモードやる時は、この合図で行こうか。」
と指を口に当てて「しーっ」のポーズ。
「りょーかいです。」

「それにしてもやばかったな。」
「うんにゃ。」
「しばらく競馬とか行けないか。目立っちゃうから。ま、パソコンって手もあるから。応募してみるか。んー、何か気がするんだけど。これから金を稼ぐにしても何をするにしても地味にしなけりゃいかんかも。何にしろ時間が無いし。騒がれたら地球救出もクソも無くなるぞこりゃ。」
「はい。そのようそのよう。」

「あー、何か急に疲れが・・・。今日は帰ったら休もう。明日は・・・別の手を考えるぞ。」





「地球滅亡の日まで残り447日」


※単勝・・・1着の馬を当てる馬券です
※複勝・・・3着内に入る馬を当てる馬券です。当然単勝の方が倍率高し。

204

2005年12月31日

第9回 おでんの夜

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第9回 おでんの夜

「おう」

穴馬当てて最上機嫌の大馬鹿コンビ二人、肩を抱いてやってきました。場所は勘太郎行きつけの、「ユウジの店」。完全個人経営、メシ&飲み屋です。

「あ、カンさん。いらっしゃい。何だ、上機嫌すね。なんかいいことあったんすか。」
「あったも何もどかーーーーんよ。わはは。今日は死ぬほど飲むぞー。」
「飲むぞーーー。」

「あ、そちらは?」

「あ、これ。この人見えるんか?」
「見えるも何も、す、す、凄いキャラクターで」
「この人は・・・・おやじ・・・いんや大八木さんって言ってな、ま、親戚筋だ。親父ちゃんでいいよ。」
「お初でござ。どうかよろしう。」
ペコリとお辞儀、親父ちゃん。

「あ、そうなんですか。初めてですね。お身内の方は。はい。こちらこそどうかご贔屓を。」
「親父ちゃん。この店はな。顔はこのとおりまずいが・・・」
「はいはいまずい。こらーっ。」
「まずいが・・・料理は滅法うまいぞ。腹もぺこぺこだし。さー喰おう。」
「喰おう喰おう。おでんおでん。」
「そうだ。おでんだ。煮えてるかおでん。」
「はいはい。出来てますよー。うちのは自家製だから。つみれだけだけど。あ、汁も。うまいよー。」
「食べていい?」
「おう、食え喰え。」

いきなしおでん鍋ごと口の中にぱっくり

ごくごくごく。

目をまん丸にする二人。

「おいおい。喰っていいっていったけど、ほんとに鍋ごと喰いやがった。俺の分がそれじゃ無くなるでしょ。少しづつ、味わって食べましょうね。」

「はーい。」

また口から鍋を戻して置きました。

「カンさん、今のは・・・。今の。」
「あ、今のね。この人奇術好きでね(今日2度目だよ)」
「えっ?」
「だから奇術好きで、こうして人を脅かすのが好きなんだよ。全くしょうもなくて。すまんな。」
「すまんすまん。」
「あ、そうなんですか。驚いたなもう。」
「そうゆうこと。適当に見繕ってどんどん出してね。そうだ。まずは乾杯だ乾杯。酒くれ。ポン酒!。乾杯だから冷でいいや。」
「はい、これで」
「駄目だよー。一番いい酒。はっかいさん。」
「はっかいさんはっかいさん、それちゃうだい。それ。」
と欲しがる。思わず一升瓶渡す勇次。

受け取った親父ちゃん。

ごくごくごくごく。

4口で飲んでしまいました。

「わはは、凄い凄い。これはほんと。酒豪だから。こっちもそれでいこう。かんぱーい」

かんぱーい。

「かんぱーい。ひっく。うめー。おでん食べるね。」

ぱくぱく。

「うめー。」

「あはは。うめーだろ。さー食え喰え。どんどんどんどん、他の料理も出せだせ。」

「ははは、いいですねえこの方。よっしゃ腕によりをかけて・・・。ところで今日は何かいいことあったんですか。」

「あはは。それがね。馬だよ。馬。」
「馬?」

とそこに突然、店の引き戸ががらがらと。

「こんばんわっ。お、客がいるじゃねえか。景気いいねえ。これなら今日は払ってくれるかな。」
人相の悪いおあにいさんが二人。

「あ、どうも。こんばんわ。あ、あ、あの件でしたら。もう2,3日。すみません。待ってくれませんか?」

「待てと言われて待ったんじゃ、この商売は出来ないんだよ兄さん。今日払えなかったら店にあるもん全部持っていくっていったじゃなーい。すみませんね、お客さん。このお酒も持っていくよ。」
と目の前の瓶を。

「こらこら。せっかく始めたところなのに。なんだ君達は。失礼な。何?勇次。どうしたのこれは。」
「いやすみません。仕入れの資金繰りに困っちゃってちょっと町金で借りちゃったんです。」
「ちょっとじゃないよ。こーんなだよ。持って行きます。すまんねすまんね。」

と勘太郎のおでん皿にも。

「この野郎。これでもくらえ。」
勘太郎パーンチ。

ぱこ。

やくざのおでこにジャスト・ヒット。

やくざさんは倒れた・・倒れた・・・倒れてない。ぴんぴんしてます。

「お、やってくれたね。兄さん。じゃこれはお返しよっ。」

ばこーん。
平手打ち。

飛んでいきましたカンちゃん。

「わ、うちの兄さんに何するのあんた。」
親父ちゃん、立ち上がって
「親父ちゃん光線発射!!」

ぴっかり

頭から強烈な光線が。

「わー目が目があああ。」

勘太郎、復帰。ほっぺ押さえながら。
「どうだ。我々の実力は。がはは。」

「目が目があ。あ、直った。こいつめー。」

「親父ちゃん、行けー。」

「はいな。もう一回。今度は本気よ。」

「あ、すまんすまん。もういいもういい。帰るからもう。」

「ちょっと待ったー。その借金いくらだ。」

「なんだかんだで120万円になりました。」
と泣きながら言う勇次さん。

「よし、その借金俺が払った。親父ちゃん出して。」

「はいな。」と口から札束出してやくざさんに手渡す。

「借用証っ。」と勘太郎が手を。
「あ、ありがとうございます。これ。これです」

「こんなのわー。」
勘太郎が破こうとしたら、親父ちゃんがヨコから手を

ばくばくばくばく。

食べちゃった。
「美味いな。しゃくようしょう。」

「がはは。いいぞ。さあおまえらー、出て行けー。」

「ひゃあああ。」と退散、やくざさん。

「わーーーーーー。ありがとうございます。このご恩は、ご恩は一生忘れません。」
「まーいいってことよ。それよか。めでたいめでたい。3人で飲もう。のもーーー。」

大盛り上がり。店貸切で3人で宴会。翌朝6時まで続きました。

いつの間にか日が変わり




「地球滅亡の日まで残り447日」

203

2005年12月30日

第8回 カラスの勝手だ

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第8回 カラスの勝手だ

ぜいぜいぜい

「ああ、ちょっと休もう」
息を切らして勘太郎。スポニチを開いて下に敷き、体育館座り。

ぜいぜいぜい
「休む休む」
おやじちゃんもとなりに。直に座ろうとして

「おいおい。尻が汚れるぞ。これ敷けよ。」

「さんきゅさんきゅ。どっこらせ。」

「どっこらせって、あんたロボットだろ。息を切らせるのか。」
「ぎゃはは、雰囲気雰囲気。」

10分ほど、ほけーとする二人。

「お、そろそろ発走だ。見よう見よう。」

場内放送
(本日の最終レース、東京競馬場サラ系3歳上1000万円以下タラキュー特別、芝の1600mです。各馬順調にゲートに向かって。最後の馬18番のスルノハオマエダが今、入りました。

ガシャン

さあ、一斉にスタートっ。おっと、6番のバンバンビガロ大きく出遅れ。1番人気の6番が出遅れました。)

「よしっ!やったー。親父ちゃん予想ぴったし。あとは先頭が・・・」

(先頭は1番のバクダントッキュー、軽快に飛ばしてます。2番手はちょっと離れて2番のモエモエテイオー・・・その後ろにぴったし3番のキラークイン、そして離れず4番のヒトクイザッパ・・・)

「いいねいいねえ。このまま逃げてばっちし頂きっ。凄いぞ。」

「へへへ。予定通りです。ペースも遅いから、だいじょーーぶ。」
と右手で鼻の穴に親指付けて一回転の親父ちゃん。

(そのままの体勢で各馬最終コーナーを通過しました。バクダントッキュー大きく引き離す。付いていくモエモエ。後続の足色が悪い。一団となって、中からキラークイン内(うち)、ヒトクイザッパが外で追走。・・・・あと200m。そのままの体勢。バクダントッキュー、バクダントッキュー、ゴールイン。そしーてーモエモエテイオー。)

「よしっ。1、2着いただきっ。3着は・・・」
「あ、あそこのカラス!!」叫ぶ親父ちゃん。

その時、かあかあと鳴いたカラスがコースを横切り内ラチ(注:コース内側の柵)の上にちょこんと、ガアガア鳴き出した。

3着目指して激走する3番キラークイン、びっくりしてカラス見つめる。

(キラークイン、突然下がりだしたあ。外のヒトクイザッパ一歩前へ。そのままの体勢でゴールインっ。3着は4番のヒトクザッパ、ヒトクイザッパです。)






「今、3着、ヒトクイザッパって言ったよな。4番の。」
と勘太郎。
「4番の。4番の。3着。カラスが。かあって。」




「うおおおおおおおお。1番−2番−3番。外したーーー。どうするんだ。帰れないよー。」
胸ポケットから馬券を取り出して暴れる勘太郎。
「くそー、こんなもの、こんなもの、・・・え、こんな・・・」
ともう一回見ると・・・

「こんな・・・。おい、3着は4番って書いてあるぞ。」



「あ、あ、当たってるじゃん。何でだ。そうか。急いだから隣をマークシートしちゃったんだ。で、で、配当は????。ど、どれくらいだ。」

「今確定しました。出ます出ます。」

「ええと、2でしょ、5でしょ、あと5でしょ59630円って・・・・」
「そりゃ大体2500万円です。」
「えー、2500まんーーー。」
と叫ぼうとして慌てて口を押さえる。
小声で
「当てちゃったよ。当てちゃったよーーー。」
「当てちゃったよ。当てちゃったよーーー。」
親父ちゃんも小声。顔をぴったし付け合って。

「ばんざーい」
「ばんざーい」

「よし、こっそり交換に行こう。はてさて、経験が無いからどこへ行けばいいかわかりません。」

とにもかくにも館内へ。

「あそこの人に訊いてみようか。案内みたいだし。・・・

すいません。あの高額当選はどこで換えるんですか。」

「高額当選ですか。高額・・・・、あ、まさかお客さん今のレースで2500まん当てた・・」
でかい声を出しやがった。

どすっ。

「や、打ち身。」

ぐふ。

「あ、どうしたんですか。この人具合悪いみたいです。ははははは。逃げろ。」

たたたたたたた。

「どうして当てたのに逃げなきゃいかんの。まったく。」
「あのー、それを言うなら「打ち身」じゃ無くて「当て身」です。」
「遅い突っ込みありがとう。あ、そうか、親父ちゃん知ってるんじゃないの。さっき色々調べて。」
「あ、そうか。知ってる知ってる。はいここです。」
「お、ここか。」

気が付けば窓口の前。さすがに誰もおりません。

「すいません。これ払い戻しお願いします。」

「はい。ありがとうございます。こちらですね。はい。2,2,2、2500まん〜〜〜〜。
失礼しました。」
と窓口のおばちゃん、さすがです。にわかに職業意識取り戻し。
「ちょっとお待ちください。」


待つことしばし。



大きい紙袋がにょきっと出て来た。
「そのままで大丈夫ですか。」
とおばちゃんに訊かれるまもなく、

バクバクバクバク

何と親父ちゃん、食べちゃったよ。札束を。

目を丸くしてピクピクしてるJRAおばちゃん。

「あはは。このおじさん、奇術好きでして。あはは。時々悪いいたづらするんです。すんません、すんません。お気になさらずに。ごらんの通り大丈夫ですから。あはは。では、さらばじゃ。行くぞ。」

小走りで立ち去る。

「おい、ちゃんと出てくるんだろうな。その札束。」
「ぎゃはは。うめえなあお金お金。うん出てくるよ。あとでうんこでどば。って嘘ぴょーん。いつでも御意のままに。」
「そうだよな。じゃ、取りあえず10万ほど。電車賃〜。」
「10万って多いわね。」といきなりホソキカズコの顔になる親父ちゃん。

「ぎゃ、止めてくれよそれ。電車賃と・・・帰り飲み屋で祝勝会。やろうや二人で。」
「わーい。それならOK。はい。祝勝会祝勝会。おでん食べたいですワシ。」
「あー、おでんでもなんでもー。鍋ごと喰わしてやるわ。」
「鍋ごとーーーーー。」


喜んで帰路につく二人の頭上をカラスが飛んでます。

「カー、カー、カラスの勝手でしょーい。まったくもう書き間違えるなよなあ。世話が焼ける連中だなやーカー、カア。」




「地球滅亡の日まで残り448日」

202

2005年12月29日

第7回 一世一代の大勝負

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第7回 一世一代の大勝負

両手を叩いて勘太郎、
「よしわかった。じゃあ親父ちゃん。本気で頼むわ。」
「ほいさ。」
「えーとそうだな、まずは古今東西全ての競馬に関する情報、知識、血統、学問、人間、とか少しでも関係あるものなら全部、ほらネットとか耳とか出来る全ての能力で、ええい、そうゆうの親父ちゃんネットって呼ぼう、略してオーネット。ってこれはまずいか。親父ちゃんネット。で調べてくれ。それを元に馬を見て予想頼みまっせ。」
「じゃあ、行きます。」

目をくるくる、調査モードに入りました。





30分経過



「長いなあ。スーパー・コンピューターじゃなかったの?」
「そりゃもうスーパーだがんね。でも凄いよ競馬って。奥が底無しです。」
「あ、そうだ。親父ちゃんの頭脳って、限界とかあるのかな。これでハードディスクが一杯になっちゃったらやばいです。」
「うにゃ、へーきへーき。余裕よゆー。ただ判断するのがえろう大変。」
「そうか、取れない訳だな競馬って。」



1時間経過。
「おいおい。レース終わっちゃうよー。」
「もうほんの少しなんだけど。


あー腹減った。エネルギーがもうありません。続行不可能です。」
「えっ?参ったなあ。ここまで来て。とほほ。」
「何か食わせろ。あ、あそこで売ってるフランクフルト食いたい。」
「喰いたいって言ったって金がもう無いよ。」
「喰いたい喰いたい。食わせろ食わせろ。喰わなきゃ出来ん。」
「しょうがないなあ。値段はいくらなんだ?。250円。あはは買えるじゃん・フランクフルト1本下さい。」
お店の人の婆さんが
「1本でいいのかい?二人で食べないの?」
「いいです1本で。ボクお腹空いてませんから。」

ぐうううううう。

「あはは。いやダイエット中で。あはは。」
逃げるように猿。

「ほら、どうぞお食べ。残金150円。これこそ一本勝負だな。」
ばくばく。
「うめー。よし、調査再開。ほい。完了しました。」
「はやいなー。」
「もうちょっとだって言ったでしょ。さーパドック、パドック。最終レースに間に合いません。」

二人で駆け足でパドックに移動です。
「さー、ここで決まるぞ。親父ちゃんの目って透視とかも出来るんだろ。」
「あいよ。」
「えーなんつうか、オーラつうの?生態エネルギーか。そうゆうのは見えるのかな。」
「わかるよ。ここにいる馬の今の絶対能力がわかります。」
「よっしゃええど。じゃ見てくれ。そうだ。ほら騎手が乗った。一緒に騎手も見て総合的に行ってみよー。」
「うんうん。はいはい。ほーほー。まずは1番バクダントッキュー。これはもう抜群です。」
「1番?1番は13番人気じゃんか。歳が9歳だからなあ。最近勝ってないし。大丈夫かな。」
「大丈夫。凄いよ今日の調子。騎手もそれ知ってるみたいヨコノリさんやる気バンバンです。内側の芝のいいところを走って逃げ切ります。」
「おーさすが。競馬知識王になりましたね。わかったけど今抜けた1番人気は6番のタケさんのバンバンビガロなんだけど・・」
「うーん、駄目です。見た目落ち着いてるけど、中身の色はマッカッカ。入れ込んでるよ。あれじゃ最後やばいです。見た目わかんないから騎手も気付いてませんです。」
「そうか。それで2番手は?」
「2番のモエモエテイオーだがや。根性無いんで1番は抜かせないけどその後を付いて行きます。確実に2着です。」
「2番、2番。もう100円しか買えないから。3連単(注:1着から3着までばっちり当てる馬券
)一発勝負だよ。2番、2番。2番って10番人気じゃん。こりゃえらいことに。小さな声で言ってね。」
「大丈夫。カンちゃんにしか聴こえないよワシの声。」
「凄いな。じゃ安心だ。あ、急ごう。3番手は?」
「3番手かー。3番と4番がいいんだけど・・・これが着順となると誤差の範囲で・・・悩みます。」
「うーん、時間がー。馬は見たよね。取りあえず馬券売り場に行こう。歩きながら考えなさい。」

駆け足で移動。

馬券のマークシートを手に券売機の前に並ぶ。
「えーと、もう塗っておこう。1着は1番バクダンさんと、2着はモエモエさんと・・まだ決まらないの?」
「うーんうーん。」

列が短くなってついに勘太郎たちの番になりました。
後ろのおっちゃんが
「早くしろよー。締め切りだよ。ほら。」
「すんません。すぐやります。親父ちゃん、3番手は〜〜〜??」
「ええい、これです。3番。いっちゃおう。」
「3番ね。はい。と、100円入れて、馬券入れて。出て来たほい。さあ行こうレースに。」
とその瞬間、締め切り時間。後ろのおいちゃんが真っ赤になってる。
「やば。逃げるぞ。」

後はもう、運を天に任せて最終決戦だ。って何のお話だったっけ。


「地球滅亡の日まで残り448日」

201

2005年12月28日

第6回 当てたるで

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第6回 当てたるで

「何で行くのけいばじょう。」
駅に向かう道すがら親父ちゃんが訊きました。
「そりゃまあ、今日がたまたま土曜日で、地球が危機に瀕してて、お馬さんが俺を呼んだからよ。」
「お馬さんが?」
「そうよ。ひひーんてな。訳すと私で儲けてくださーーあーいってね。それに君がいるからな。」
「おいらが?ふーん。」
「ふーんって。頼むよ。ぜーんぶ親父ちゃんにかかってるんだから。」
「まかせなさい。てか。」

KO線に乗って二人は一目散に府中トキオ競馬場に。あれこれ考えていたらあっとゆうまに着きました。

「ひゃー、いいねえトキオ競馬場。ひさびさー。土曜日出勤の仕事なんかしちゃったもんだから全然来れなかったよ。」
「ケモノの臭いがするね。喰うか。」
「何言ってんだ。喰うんじゃないよ。走るの。」
「ふーん。」
「喰うと言えば何かこう腹減ったな。午後のレースまでまだ間があるし、何か喰うか。奢るぜ。」

・・・・・・

ずるずる、じゅぽじゅぽ
「美味いねこのラーメン。けっこういけるわ。」
立ち食いでラーメン食べてます二人。
「はははははは、何しろ急だったから持ち合わせが無くて、ほら掛け金が無くちゃ話にならないだろ。とっておかなくちゃ。あ、美味い?良かった良かった。はははは。」

はあはあ、ふうふう、ずるずる

「あ、そう言えば、あれだ。親父ちゃんってロボットなのにさ。食べるんだメシを?今更だけど。」

ずるずる、じゅぽじゅぽ

「何馬鹿なこときくでねえ。メシ喰えなくて何が楽しみで生きてるの?それにまー料理ロボットだよ
、わし。」

はあはあ、ふうふう、ずるずる

「まあ、そりゃそうだ。なんか納得しちゃったな。」

ずるずる、じゅぽじゅぽ。ずるるるるるるーーーーくはー。

「ごちそうさま。」
「はいごちそうさん。」

「よっしゃさー行くか。まずはパドック(注:出走する直前の馬が様子をお客さんに見せる場所)だな。ついてきなさい。」
「ほいさ。」
土曜日なんでパドックは空いてました。
それでも最前列となると・・・
「あ、ごめんねごめんね。ちょっといいですか。はい。ど、どう?これが馬。これが競争して走るの。そうだなまずは軍資金稼ぎで固くいくか。1着と2着になる馬はどれだい?」
「わしに訊くのか?」
「そりゃそうだ。教えて〜。」
「うーん、そだな。あの馬とあの馬がいいなわ、わし。」
「あれか?あれは4番のチーボーか。ちょっと待てよ。(電光掲示板見る勘太郎)3番人気か。なるほど。あとは13番のナリタミッキー?ええっと。お、1番人気じゃん。固いねえ。馬連だと・・・
4倍か。まあものは試し確実にいってみよー。」

二人はそそくさと馬券発券機に。

「えーっと、これだな。ちょんちょんちょんと。よっしゃ。4番と13番。何か不吉だな。ええい。
さー行こう。こっちこっち。」

親父ちゃんの手を握って正面ゴール前に向かう勘太郎。ちょっと変な絵。だって親父ちゃん、衣装替えせず、ステテコと腹巻、ランニングのままです。

10分ほど経過。話すことはいっぱいあるだろうに。妙に無口です。

場内放送
(さー、ゲートインが始まりました。本日の第7レース3歳上500万4歳上1000万下混合別定1400m芝の競争。順調にゲートイン進んでいます。・・・さあゲートイン完了した(ガシャン)。
全馬揃っての出走。)

「お、よしよし予定通り。固く固くと。」

(先頭は10番ヨウツウジイサン、2番手は8番ロジャーテイラー、・・・・1番人気のナリタミッキーは6番手、好位置につけてます。・・・・3番人気のチーボーは8番手・・・)

「よっしゃ、トキオは直線が長いから。あの辺の位置が最高!」

(さー直線に入りました各馬いっせいにラッシュいたします。1番手は依然としてヨウツウジイサン。
あと200m。ヨウツウジイサン粘る。外からナリタミッキーが追い込んできた。続いてチーボーも。あと100m。ヨーツウジイサンまだ粘る。50m。必死の追い込みナリタミッキー。チーボー。どうなる。さあゴール。きわどい。)

「え、どうなってるの?決まりだろ、あの2頭で・・」

(際どいですが1着は粘ったヨウツウジイサン。腰痛なのに頑張りました。2着は1番人気ナリタミッキー。3着がチーボーのようです。)


ガーーーーーーン。

「取ったか?」鼻ほじりながら親父ちゃんが訊く。

「ま、ま、ま、まさか・・・・。どうして?スーパー・ロボットだろ親父ちゃんは?何ではずすのよー。」

「外れたのか?いくら賭けた?」

「いくらって、確実だって言うから持ち金4400円のうち、4000円賭けちゃったよ。電車賃も無いじゃんかどーするの。」
とくねくね苦悶で悶える。

「なんであの馬がいいと思ったの?」

「えーだって。あそこ。パドックで。ミッキーちゃんと目が合ったから。かわいいじゃん。チーボーはさあ、パパと呼ばないで。なんちゃって。」

「えー、データとかで見たんじゃないのーーーー。」

「え?だってただ訊かれたから。言われないと何もしませんわし。」

ガーーーーーーン。

「そうだったか。しまったー。よっしゃまだ400円残っとるわ。レースもまだまだ。地球を救う為、あ、こんなところで(見得切って)、あ、負けてはいられませぬわー、ぽんぽんぽんぽん。」

残金400円で地球を救う男。それは管勘太郎。29歳現在無職。独身。恋人無し。




「地球滅亡の日まで残り448日」

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